工場10年で、何度かやってしまったことがあります。
ミスをすると、ラインが止まる。後工程が詰まる。最悪の場合は製品が無駄になる。そのたびに「やってしまった」という感覚と、申し訳なさと、ちょっとした恐怖が重なります。
語るのが恥ずかしい話ですが、正直に書きます。
やらかし①:ぼーっとして非常停止ボタンを押してしまった【5時間の製造遅れ】

深夜シフトでのことです。
製造中に床の水切りをしていました。ラインが動いている横で、ぼーっとしながら水を切っていたら、水切りの先っちょが充填機の非常停止ボタンに当たってしまいました。
充填機が止まった瞬間、陽圧(機械内部を清潔に保つための気圧管理)も止まりました。
食品工場では、陽圧が止まると製造を再開する前に「CIP」と「SIP」をやり直す必要があります。
CIPとは、機械や配管を分解せずに洗浄液で内部を洗い流す工程のことです。SIPはその後に蒸気などで殺菌する工程。どちらも時間がかかる作業で、この2つをやり直すと数時間単位でロスが出ます。
その日は5時間の製造遅れが発生しました。需給が間に合うかギリギリの時間になって、関係する部署に連絡が走りました。
ぼーっとして水切りをしていた自分が原因です。たった一瞬の不注意で、工場全体がその後5時間影響を受けました。
やらかし②:メンテナンス後にペンを機械の中に忘れた【異物混入未遂】
設備のメンテナンスが終わったあと、ラインを再開しました。
しばらくして気づいたんですが、メンテナンス中に使っていたペンを機械の中に置いてきていました。
回収してみると、機械の中でぐちゃぐちゃに破壊されていました。
食品工場での異物混入は、最悪の場合リコールや営業停止につながる重大事故です。その手前でたまたま気づけたので「未遂」で済みましたが、気づかずに流れていたら大事になっていました。
ペンは金属探知機に引っかかるはずだから大丈夫、という話もあります。でもペンの種類によっては検知されないものもある。発見できたのは運が良かった部分もあります。
メンテナンス後には道具の数を数えて確認するルールがありますが、その日は確認が甘かったです。自分の確認不足が原因でした。
やらかし③:ラベラーの日付設定を確認せず流してしまった
3つ目は、ラベル関連のミスです。
ラベラー(賞味期限や製造日を印字する機械)の設定が、シフト開始時に前日の日付のまま動いていたことがあります。気づいたのは、その回のロットがほぼ流れきったタイミングでした。
該当する製品は一旦すべて出荷を止めて、倉庫にあるものを選別し直す作業になりました。すでに出荷済みの分がなかったのは不幸中の幸いでしたが、選別作業には数人がかりで半日近くかかりました。
原因は単純で、機械の設定画面を「確認した気になっていた」ことです。実際には前の作業者が設定した日付のままで、自分は目視確認を飛ばしていました。
この一件以来、シフト開始時のラベラー設定確認は、指差し呼称で声に出して確認するようにしています。地味な作業ですが、これをやるかやらないかで結果が全然違います。
失敗のたびに気づいたこと
2つの失敗に共通しているのは、「ぼーっとしていた」か「確認を怠った」かのどちらかです。
工場の作業は単純な動作の繰り返しが多いため、集中力が落ちやすいです。「慣れた作業だから大丈夫」という感覚が油断を生む。
非常停止のミスは「慣れた作業中の一瞬の油断」で起きました。ペンのミスは「慣れたメンテナンス後の確認省略」で起きました。どちらも経験を積んでいたからこそ起きたミスだとも言えます。
慣れることと、安全を維持することは別のことだと、この2つで学びました。
まとめ:失敗は隠したいけど、正直に書く

工場の失敗談は、当事者にとって語りにくい話です。
でも「やってしまった経験がある」という人は、工場員なら少なくないと思っています。ぼーっとしていた、確認を怠った、そういう人間的なミスは、どんなに経験を積んでもゼロにはならない。
大事なのは、同じミスを繰り返さないことと、隠さないことだと思っています。
今でもメンテナンス後は道具を数えます。水切りするときはボタンの位置を確認します。失敗が習慣を変えました。
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