「食品工場って衛生管理が厳しそう」
そう思っていました。10年前は。
実際に入ってみてわかったのは、外から見えている姿と中の現実はかなり違うということです。問題になるような話じゃないですが、綺麗事じゃない部分を正直に話します。
思ったより掃除が適当で汚い
食品工場だから清潔で当然、と思っていました。
製造ラインは確かに管理されています。製品に触れる部分の衛生管理は徹底していて、ここは本当にしっかりやっています。
でも「思ったより汚いな」と感じる場所が普通にあります。
機械の裏側、ライン下の隙間、設備の継ぎ目。製品が触れない場所は後回しになりやすい。忙しい日が続くと清掃が追いつかなくて、気づいたら積み重なっています。普段から気をつけている人もいますが、全員が同じ意識というわけじゃない。
外から見たら絶対わからない部分です。「あの工場は清潔そう」と思って買っている人に、申し訳ない気持ちになることがあります。
更衣室の匂い・検便・排水溝など、もっと具体的な「汚い」体験は→食品工場は汚いのか、10年働いた人間が正直に答えるで詳しく書いています。
お偉いさんが来るときだけ全力で掃除させられる

これが一番「なんだかな」と思うやつです。
社内視察や偉い人の見回りが入る前日になると、急に掃除モードに入ります。普段は後回しにしていた場所も含めて、全員で磨き始める。
しかも需給がギリギリのときでも、ラインを止めてお出迎えの準備をする。生産よりも「見せる工場」を優先している瞬間です。
毎日これをやれよ、と思いますが言えない。縦社会なので。
視察が終わったら翌日からは元通りです。これを10年繰り返してきました。
仕事ができても上司に歯向かうと昇格できない縦社会

同じ部署に、誰よりも仕事ができる人がいました。
判断が早い、段取りがいい、トラブル対応が的確。現場の実力でいえば一番だと思っていました。でも昇格できていないです。
理由は、上司に歯向かっていくからです。
正しいことを言っていても、縦社会では通らない。「そのやり方じゃなくてこっちでやれ」と言われても「でもこっちの方が効率がいい」と返してしまう。正論でも、上の機嫌を損なうと評価が下がる。
逆に、仕事は普通でも従順な人間が上に上がっていく。スキルより従順さが評価される場面が普通にある。
10年いてそれが変わる気配はないです。
パートにもカーストがあって新人は見定められる
パートさんの世界も単純じゃないです。
新人パートが入ってくると、まず情報収集が始まります。どんな人か、仕事できるか、付き合いやすいか、どのグループに入りそうか。それがパート内で共有されて、立ち位置が決まっていく。
本人が知らないところで評価が固まっているのが、工場らしいなと思います。
2社目のときは派閥争いに巻き込まれました。パート同士の対立に社員の自分が引っ張り込まれて、どちら側からも「あいつはあっちの味方」と思われる状態になった。逃げ場がないのが工場の人間関係の一番きつい部分です。
サービス残業が当たり前になっている

ライン終了後の片付け・機械の清掃・引き継ぎの準備。これらが給料に含まれていないことがあります。
でも誰も声を上げない。当たり前になっているから。
10年いると自分もその感覚に染まっていて、ある日「あれ、これおかしくない?」と気づく瞬間があります。でも言い出せる雰囲気じゃないし、言っても変わらない。
黙って続けることが工場員の「普通」になっていきます。
上の判断ミスなのに怒られるのは現場
工場あるあるだと思いますが、上の判断や指示が原因のトラブルでも怒られるのは現場の人間です。
「なんで対応できなかったんだ」と言われても、そもそもの指示が間違っていた、という話が普通にある。でも縦社会なので言えない。「すみません」と言って飲み込むしかない。
これが積み重なると、メンタルがじわじわ削られていきます。仕事が原因でしんどくなった人を何人も見てきました。
社食はくそまずいけど400円、社割はほぼない
福利厚生の実態も書いておきます。
食堂は外部業者が入っていて、正直に言うと味はくそまずいです。ただ会社が半分負担してくれているので、実質800円くらいの定食が400円で食べられます。味は妥協点、価格は助かる。この2つが同時に成立しています。
社割については、常時の割引は正直ないです。年に数回、まとめ買いすると安くなる制度があるくらいで、求人票のイメージほど頻繁には使えません。
求人サイトの「福利厚生充実」という言葉と、実際に使ってみた体感には、いつもこのくらいの温度差があります。
転職活動を始めて、裏側をより客観視できるようになった
この記事を最初に書いたのは数ヶ月前ですが、あれから転職活動を始めて、状況が変わりました。
面接で工場での経験を話す機会が増えて、外の人から見た工場のイメージと、中にいた人間が知っている現実の差を、以前よりはっきり意識するようになりました。マッチングアプリの職業欄に「工場勤務」と書けなかった経験もそのひとつです。見下されているというより、自分自身が工場勤務にネガティブなイメージを持ってしまっていたことに気づきました。
裏側を知っているからこそ、外からのイメージとのギャップに敏感になる。これも工場に長くいた人間の特徴かもしれないです。
まとめ:工場の裏側は、外からは絶対見えない

食品工場で10年働いてきて思うのは、外から見えている「清潔で安全な食品を作る場所」というイメージと、中の現実にはギャップがあるということです。
問題がある、というより「人間が働く場所の現実」がそこにあるだけかもしれない。
それでも正直に話せる場所があった方がいいと思って書きました。同じ環境にいる人に「わかる」と思ってもらえたら十分です。
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